黒沢美香 『薔薇の人-ROLL-』―回る、転がる、回転する―
黒沢美香 『薔薇の人-ROLL-』@神楽坂die pratze(1月5日(木)‐8日(日))/8日楽日観劇
黒沢美香(振付/ダンス)、アイカワマサアキ(照明)、椎啓(Public Acoustic)、堂本教子(衣装)、瀧澤潔(美術‐回転する皮膚)、首くくり拷象(アートディレクション)
8日は楽日ということもあって超満員。酸欠状態の中、開演時間を20分ほど押した。濃密な約90分の上演。室伏鴻さんもいらしていた。
〈ROLL2006〉
「薔薇の人」シリーズの2006年ヴァージョン。通算で9作品目。2000年と2002年に同名の「ROLL」を上演している。
〈roll〉、リーダーズ英和辞典によれば、「ころがる、ころげて行く。始動する、回転する」が主な意味である。今回の上演でも、転がる、回る、回転する、といった動きがパフォーマンスの中核を成していた。
白塗りした身体に、おとぎの話の住人のような過剰な衣装を纏って登場。ふらふら歩き回る。その後、冠を取り、コートを脱ぎ、「初めての回転/回転の始まり/OPENING」。
そして過剰な衣装を少しずつ脱いでは、壁に掛けていく。犬の形をした金のネックレス、手袋、金髪のかつら。白の衣服だけになり、タオルを首に巻き、組み立て式のテーブルをゆっくりと組み立てる。テーブルの周囲を回り、最後の衣装も脱ぎ去り、裸体になる。
グロテスクな乳房が付いた衣装を纏い、乳房の先に金色のアクセサリーのようなものを装着し、それを振り回す。ビートルズの曲と共に回転させ続ける。ところどころに「間」をおきながら。
「そしてまた回転の始まり/ENDING」で、回転しながら暗転。
およそダンスとも、アートとしてのパフォーマンスとも名指せないような行為/動きでありながら、なぜか我々を惹きつけ濃密で緊張みなぎる上演空間を出来させる。天才的な技巧が宿る身体を脱力気味に駆動させたり/させなかったり、流れるような一連のフォルムに突然「間」を入れ動きを切断したり、フォルムが終息したかと思いきやまた突然回転し始めたり、油断のならない行為の連続。予断を許さず、観客の期待/欲望ををズラし、言葉による追認を不可能にするダンス/パフォーマンスだった。
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