黒色綺譚カナリア派番外公演『少女灯~改訂版ドドメの懐古趣味~』
黒色綺譚カナリア派番外公演『少女灯~改訂版ドドメ懐古趣味~』(作・演出:赤澤ムック)@ザムザ阿佐ヶ谷(6月29日(木)-7月3日(月))/2日(日)19:00~観劇
黒色綺譚カナリア派の今回の上演は、最近流行の番外公演(番外公演の走りってNODAMAPだろうか・・・)。どのような意味で「番外」だったのかというと、他の小劇場系劇団(動物電気や鹿殺し)から役者を集めてユニット制っぽくしたという意味でである。上演の趣旨や趣向自体は正規公演と変わるような点はなかったと思う。チケットプレゼントに当選してラッキー♪♪
ケーキ箱が大量に敷き詰められ山積みされた薄汚い工場という、いつもどおりのゴシック趣味というか廃墟趣味あるいは江戸川乱歩趣味で統一された舞台美術が怪しげに美しく、これは非常に見ごたえがあった。小劇場回では黒色以上に怪しく冷たく美しい舞台空間を作れるものはいないのではないかと思うくらい綺麗である。蜷川幸雄の舞台空間に似ているような気もする(最近の蜷川にはみられないが)。個人的には好きだ。
赤澤は、学生時代唐十郎にほれ込み劇団唐組にも所属していたこともあるようなので、舞台美術は唐的な美を無意識的に模倣しているのだろうか。ただし書いているもの自体は唐とは関係ないように思う。というか、赤澤本人も言っているように少女マンガ趣味か?美男美女の主人公とか、虐められるイタイケな少女とか?そしてSっ気とMっ気が同時に見られる(笑)まあフロイトによれば、MもSもコインの表裏に過ぎないらしいが。
今回の物語は一言で言えば、ケーキ工場で働くドドメの、緋色に対する捩れた同性愛的感情を背景としながら、緋色の捩れた異性への愛を成就させていく物語である。物語りそれ自体は面白いと思うわけだが(前も思ったのだが)、物語内容の割には上演時間が長いような気もしてしまう。もちろん、冗長なものが不要だと言っているわけではなくて、何か全対がバタバタしている感じがしてしまうのだが。で、それは何でかと考えてみると、上演自体が物語のテーマ的なことよりも、赤澤の言う「少女趣味」あるいは乱歩趣味を具現する世界/舞台を作り出すことだけに供されているという印象が拭えないからだろう。つまり表現したいのはあの雰囲気だというように思えてしまう。よって物語のテーマ的なことがほのめかされながらも深められず曖昧な形で終わってしまうのだ。じゃあ物語はどうなんだ?という疑問が客の側に浮かんでくるのはある意味当然かもしれない。
黒色は基本的には、内容やテーマがどうあれ、普通の物語演劇をやっているのでその辺今後期待したい。今日の超満員の客席が示していたように、もう少し大きなところへ進出可能だと思うし。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 笑える「笑劇」―『ニンシン選挙』クロカミショウネン18―(2005.11.26)
- 小指値『俺は人間』(2005.11.26)
- 三条会『山椒大夫』(2005.11.27)
- 楽園王『修善寺物語』―古典の演出―(2005.11.27)
- 注目の王子小劇場演劇―零式『ブリキ・ゴーレム』(2005.11.28)

最近のコメント